超低反射コーティング
NSG独自の無機・有機ハイブリッド技術により実現した超低反射コーティングです。お客様の写真や映像の画質向上やセンシングにおけるノイズ低減などに貢献します。
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製品概要
NSGの超低反射コーティングは、蒸着などの既存技術に比べ、優れた低反射性能/高い透過率を示すとともに、独自開発のコーティング材料が入射角によらない安定した低反射性能を実現します。また、平面や曲面、ガラスや樹脂など多彩な光学部品へのコーテイングが可能です。
カメラモジュールのレンズやフィルターにコーティングすることで、レンズやフィルターの表面の反射を大幅に抑制することが可能になります。
カメラモジュールは写真や映像の画質の美しさに影響することはもちろん、最近ではセンシング用途での活用も増えており、情報を正確に検知することが重要になっています。NSGの超低反射コーティングを使用することで、レンズやフィルター表面での光の反射から発生するノイズ(ゴーストやフレア)を大幅に低減でき、画質の向上やセンシング精度の向上に役立ちます。
超低反射コーティングの特徴
NSGの超低反射コーティングは高い反射防止性能を有する塗布タイプのコーティングです。
ガラス平面はもちろんレンズやカバーガラスなど曲面部分へのコーティングも可能です。
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超低反射コーティングの優位性
超低反射性能と低い入射角依存性の両立
蒸着などの既存技術に比べ優れた低い反射率・高い透過率を実現できます。また独自に開発した材料の効果により、より少ない層数で幅広い波長帯域幅の低反射化が可能です。蒸着膜での課題である反射率の入射角度依存性を大幅に抑制できます。
光学設計自由度
低反射コーティングは、屈折率の調整可能な材料であり、低屈折率、中屈折率の製品ラインナップを用意しています。波長ピークや波長帯域も調整できます。
多彩な光学部品へのコーティング
液体材料の強みを活かし、平面だけでなく曲面へのコーティングも可能です。また、対象材料もガラスに限らず樹脂他(*1)へのコーティングも可能です。
高い耐候性
無機材料を主要原料にしているため耐候性(温度・湿度等*2)に優れています。
*1 対応可能な樹脂材料についてはお問い合わせください。
*2 一般的な光学部品の信頼性試験条件
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左:超低反射コーティングなし/右:超低反射コーティングあり
超低反射コーティングの効果
カメラの画質向上やセンサーのセンシング精度の向上
カメラレンズやフィルターの表面での光の反射は、ゴーストやフレアなどを発生させる原因となり、写真や映像の画質へ影響します。また、最近活用が増えてきたセンシング用途でも、光の反射はノイズとなり、正確なデータの取得に影響します。NSGの超低反射コーティングは、問題となるゴーストやフレア(ノイズ)の発生を大幅に抑制し、画質向上やセンシング精度の向上に役立ちます。
幅広い使用環境
無機材料を主要原料にしているため耐候性に優れており、屋外に設置される設備用のレンズなど光学部品への適用が可能です。
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ゴーストありのイメージ例
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ゴーストなしのイメージ例
超低反射コーティング技術について
反射率・透過率について(例:ガラス)
光はガラス等の均一な媒質の中を一定の速度で直進しますが、異なる物質に斜めに光が入射する場合にはその速度や進行方向が変化します。この現象を屈折とよび、その変化量はそれぞれの媒質に固有の数値である屈折率を用いて表されます。また、光は異なる界面で一定の割合で反射されますが、この反射量も媒質に固有の屈折率を用いて表されます。
反射防止コーティングは屈折率の異なる単層または多層の薄膜で構成されたコーティングで、異なる屈折率の層によって反射光を打ち消しあうことで反射光を低減するものです(図1)。表面の反射を抑えることで、見かけ上は存在を感じさせないガラスに近づきます。
NSGの超低反射コーティングについて
独自に開発したコーテイング材料と光学設計ノウハウを活用し、ガラスや樹脂などの材料に適した屈折率の調整を行うことで反射率の大幅な低減が可能です。コーティング液はスピンコーティングやスプレーコーティングなどの汎用的な工法をベースに実現できるよう工夫しています(図2)。
反射防止(AR)コーティングは特定の波長に対してのみ反射率を抑えるのが一般的ですが、NSGの超低反射コーティングは、より少ない層数で広い波長帯域幅の低反射化を可能にしました。この特性は入射角度が変わった時に大きく効果を発揮します(図3)。
*特性例は基板の片面に超低反射コーティングしたときのデータです。
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ガラスのみの場合
図1. 反射と透過の比較
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一般的な蒸着コーティング
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NSGの超低反射コーティング
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図2. コーティング方式の例
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図3. 反射率と角度依存性
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新用途への展開
現在NSGの超低反射コーティングはカメラモジュールなどの光学製品での活用が検討されています。今後は、ウェアラブル端末をはじめ、レーザー・LEDを使った光学機器など新用途への展開が期待されています。
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ウェアラブル端末の例
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レーザー機器の例
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半導体製造の例
活用シーンの拡大
カメラのレンズや赤外線(IR)カットフィルターなど、これまで蒸着法で反射防止コーティングを成膜していた光学部品に、NSGの超低反射コーティングを使用することで、より優れた反射防止効果を発揮できます。また、従来法ではコーティングが難しかった曲面形状にも均一にコーティングできるため、超低反射コーティングの活用シーンのさらなる拡大が期待されています。
用語一覧
反射防止膜(ARコーティング)
ガラスなどの物質表面の光の反射を抑えるために表面に付けた薄膜のこと。通常は屈折率の違う複数の膜を積層することで表面の反射を抑え透過率を向上させる。(AR:Anti-Reflection)
入射角依存性
ガラスなどの物質に入射する光の角度と反射率の関係。一般的に入射角度が大きくなるほど反射率が大きくなる。
ゴースト、フレア
写真撮影において強い光がレンズ内に入ることにより発生する、実際には存在しない画像イメージ。ゴーストは逆光で撮影した時に強い光の部分から離れたところにできる光の玉のようなもので、フレアは逆光で撮影したときに全体的に白っぽくなる現象のこと。
赤外線(IR)カットフィルター
赤外線(IR)の透過を抑えるフィルター。カメラ等のデジタル撮影装置は人の目に見えない波長の光まで拾ってしまうため、フィルターなしで撮影すると人間の見た目とは違う画像イメージになる。IRカットフィルターをイメージセンサーなどの前に置くことで、人間が見た通りの画像イメージを出力することができる。(IR:Infrared)
真空蒸着法
容器の中に金属や酸化物などを蒸発させて、素材の表面に付着させて薄膜を形成する手法。光学薄膜用としてはTiO2やSiO2などを膜材料として使用する。
よくあるご質問一覧
サンプルの提供は可能ですか?
ガラス基板等にコーティングしたサンプルのご提供は可能です。
屈折率などの調整は可能ですか?
条件に応じてカスタム調整は可能です。技術打合せや試作等を実施の上のご対応となります。
指定の材料、製品へのコーティングは可能ですか?
技術打合せや試作等を通して可否を検討いたします。
レンズやガラス(樹脂)基板にコーティングしたものを供給可能ですか?
原則としてレンズや基板の供給はサンプルを除き行っておりません。
真空蒸着法による反射防止膜との違いを教えてください。
反射防止膜は真空蒸着法によって多層の金属薄膜を形成し、光が打ち消しあう干渉の効果を用いて反射光を低減します。弊社の超低反射コーティングは独自に開発した低屈折率の層によって界面の反射量それ自体を低減します。
価格と納期、入手方法を教えてください。
ご使用になるコーティング方法や液量(年間もしくは月当りの数量)によって異なります。まずは打ち合わせをさせていただき、回答いたします。
手持ちのスピンコート装置、スプレーコート装置でコーティングできますか?
コーティングの可否は装置の能力等にもより異なります。ご検討の際には弊社より参考情報の提供等のサポートは可能です。
他の材料と混合して使うことはできますか?
他の材料との混合は基本的には出来ません。
コーティング材のサンプル提供は可能ですか?
原則として材料でのサンプル提供は行っておりませんが、ご要望にあったサンプルの提供方法をご相談させていただきます。
RoHS、REACH、中国版RoHSなどに対応していますか。
当該法規制への対応は確認済みです。
コーティングが可能なサイズをおしえてください。
現状はカメラレンズ等の小型の光学製品へのコーティングは可能です。窓ガラスなどの広い面積の製品へのコーティングも理論上は可能ですが、お求めになる性能に対して一般的に高額になってしまう可能性があります。