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超薄板ガラス

階層性ナノ多孔質層ガラス(HNLガラス)

ガラス表面にナノ多孔質層を有する低反射性と高透過性を両立した化学強化ガラス

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製品概要

NSGの階層性ナノ多孔質層ガラス(以下、HNLガラス)は、化学強化用ガラスのガラス表面に数十nmサイズの網目状の空隙孔がガラス内部に向かって徐々に小さくなる傾斜性構造を有した、数百nmの厚みのアルミナ・シリカリッチ成分からなる表面改質型の多孔質層ガラスです。
ナノサイズの傾斜性構造による緩やかな屈折率変化により可視光線の低反射性と高透過性と、多孔質層を形成する事により従来の化学強化ガラスよりも強い機械強度をあわせもちます。
また、HNLガラスの表面は超親水性を示しますが、空隙孔を利用して機能性ナノ粒子等を担持させる事で新たな機能性材料への展開が期待されます。(例:撥水剤を塗布する事でより高い撥水性能を示すなど)

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主な特徴

環境にやさしい弱塩基性エッチングで処理できるNSGのHNLガラスには、次の特徴があります。

・可視光線の低反射性と高透過性
・従来の化学強化ガラスよりも強い機械強度
・ナノレベルの傾斜性構造によりガラス表面は親水性
・空隙孔を利用した機能膜の改善

高透光性

ガラス表面に直接形成された階層性ナノ多孔質は、多孔質層と母材との間に明瞭な境界面がありません。そのため、空隙孔の傾斜性構造によって緩やかな屈折率変化をもたらし、可視光域での低反射性と高透過性を示します。

蛍光灯の映り込み(反射性能)と透過性(左:未処理ガラス、右:HNLガラス)

蛍光灯の映り込み(反射性能)と透過性(左:未処理ガラス、右:HNLガラス)

ガラス厚みとHNL形成前後の分光透過率

ガラス厚みとHNL形成前後の分光透過率

SEM写真(断面写真)

SEM写真(断面写真)

SEM写真(表面写真)

SEM写真(表面写真)

照度計の実験(ガラスなし)

照度計の実験(ガラスなし)

照度計の実験(未処理ガラス)

照度計の実験(未処理ガラス)

照度計の実験(HNLガラス)

照度計の実験(HNLガラス)

破壊強度

化学強化ガラス表面上に直接ナノ多孔質層を形成する事により、従来の化学強化ガラスより破壊強度を高めることができます。

ROR試験(破壊応力)
ROR試験(破壊荷重)

未処理の化学強化ガラスと階層性ナノ多孔質を有する化学強化ガラスのROR強度比較

ROR Strength Test_Chemically strengthened glass

ROR Strength Test_HNL glass after chemical strengthening

超親水性

ナノレベルの傾斜性構造によりガラス表面は10度以下の低接触角(超親水性)を示します。

超親水性を示す接触角

超親水性を示す接触角

空隙孔を利用した機能膜との複合例(撥水剤の場合)

HNLガラスの空隙孔に機能性膜(ナノ粒子)を担持させる事で新たな機能性材料への展開が期待されます。
例えば撥水剤を担持させた場合、未処理ガラスは透過率が下がりますが、HNLガラスは深い部分の空隙孔には撥水剤が埋まらない為、未処理ガラスより透過率は高くなり、撥水性も高くなります。

未処理ガラス上に市販撥水剤(ガラコ)をスプレー塗布した後の接触角

未処理ガラス上に市販撥水剤(ガラコ)をスプレー塗布した後の接触角

HNLガラス上に市販撥水剤(ガラコ)をスプレー塗布した後の接触角

HNLガラス上に市販撥水剤(ガラコ)をスプレー塗布した後の接触角

透過率の改善

NSGのHNLガラスは、環境にやさしい弱塩基性エッチングで処理できます。
大量生産可能な安価なソーダライム系ガラスに、短時間で階層性ナノ多孔質層(HNL)を形成することで、透過率を大幅に改善できます。

分光透過率(0.33mmt UFF)

分光透過率(0.33mmt UFF)

分光透過率(0.7mmt UFF)

分光透過率(0.7mmt UFF)

分光透過率(1.8mmt UFF)

分光透過率(1.8mmt UFF)

多孔質層の境界面

ガラス表面に直接形成された階層性ナノ多孔質は、多孔質層と母材との間に明瞭な境界面がありません。そのため、空隙孔の傾斜性構造によって緩やかな屈折率変化をもたらし、可視光域での低反射性と高透過性を示します。

SEM写真(多孔質層)

SEM写真(多孔質層)

HNLガラスの断面SEM写真とHNLより下層のEDAX分析結果

HNLガラスの断面SEM写真とHNLより下層のEDAX分析結果

EDX写真(多孔質層)

EDX写真(多孔質層)

防汚効果

付着指紋跡が時間とともにぼける現象が観られました。

未処理ガラスとHNLガラスへの指紋付着時の半日経過後の変化

未処理ガラスとHNLガラスへの指紋付着時の半日経過後の変化

用途事例

本技術の基本的な機能性は次の通りです。

・可視光の広帯域の高透過性/低反射性
・親水性
・汚れ防止機能

この機能を活かした、ディスプレイ分野・サイネージ分野・太陽光パネル・光取出し部品等の利用が検討されています。
また、多孔質層を利用した分野でセンサー等への応用・用途展開も検討されています。

その他の用途事例はこちらより

タッチパネル

タッチパネル

ソーラーパネル

ソーラーパネル

デジタルサイネージ

デジタルサイネージ

用語一覧

階層性(かいそうせい)、傾斜性(けいしゃせい)構造

状態(構造)が緩やかに変化する構造を意味し、階層性ナノ多孔質層(HNL)は数十ナノレベルの空隙孔が、ガラス表面側からガラス内部に向かって空隙孔の大きさが徐々に小さくなるように形成されたナノ多孔質構造体となります。

HNL Glass

Hierarchy Nanoporous Layer Glass の略字で、階層性ナノ多孔質層ガラスです。

GNL Glass

Graded Nanoporous Layer Glass の略字で、段階的ナノ多孔質層ガラスです。

多孔質材

無数の空隙孔からなるモノを多孔質材といい、個々の孔が独立しているものを独立多孔質材(独立気泡体)、つながっているものを連続多孔質材(連続気泡体)などと呼び、HNLガラスは、連続多孔質からなる層がガラス表面に形成され、かつ、この個々空隙孔のサイズがのガラス表層からガラス内部に向かって小さくなるように形成された連続空隙層を有するガラスです。

化学強化

ガラスを高温の溶融塩(KNO3)中に浸漬する事で、ガラス中のイオン半径の小さいナトリウムイオンと溶融塩中のイオン半径の大きなカリウムイオンをイオン交換することで、ガラス表層に圧縮応力層を形成する強化方法。

化学強化用ガラス

組成中にナトリウムイオンなどを多く含んだガラスで、代表的な化学強化法としては、硝酸カリウム塩のカリウムイオンとガラス中のナトリウムイオンを交換する事で、ガラス表層に圧縮応力層(CS)を形成する方法が知られている。ガラスの種類としては、ソーダライムガラスやアルミノシリケイトガラス等が化学強化用ガラスとして用いられる。

イオン交換

ガラス中のイオンと溶融塩中のイオンの交換(移動)を意味します。

CS:Compressive stress(表面圧縮応力)

ガラス表面に発現する圧縮応力の大きさを示す数値です。数値が大きい程、割れの原因になるガラス表面のマイクロクラックの進展を防ぎます。

DOL:Depth of Layer(化学強化応力層深さ)

化学強化によるイオン交換がガラス表面からどの程度の深さまで行われているかを示す値です。

中央引張応力(CT)

化学強化ガラスが、ガラス表面に圧縮応力層が形成され内部にはこの圧縮応力とのバランスをとるように引張応力(Center Tention)が発生します。

弱塩基性、弱アルカリ性

水溶液の液の性質を示し、弱塩基(アルカリ)性は、pHが8を超えた11以下の液を指し、アルカリ性(又は酸性)が強いほど、ガラス腐食能力が高いです。

エッチング法

酸やアルカリ、イオンなどの腐食性を利用して、金属やガラス、半導体などの表面を加工する手法です。

ROR(Ring On Ring)試験

強化ガラスの面強度を評価する方法のひとつで、大径のリングと小径のリングの間にガラスを挟んで加圧する破損評価方法。

親水性

水滴の接触角が10°以内の表面で、ガラス表面上の水滴が面内に広がります。

撥水性

水滴の接触角が90°以上の表面で、ガラス表面上の水滴が転げやすくなります。

研磨

ガラス表面をセリウム粒子を用いてウレタンやスエードのパッドでガラス表面を磨く工程です。

担持

ナノ多孔質層の空隙孔にナノ微粒子等をとどめる事を意味し、担持させる粒子によって新たな機能を発現します。

可視光(線)透過率

可視光線(人に見える光:380nm~780nm)の光が、入射光に対してどれだけガラスを透過するかを割合で示した数値です。

HAZE

透明物質の曇り度合いや光の拡散度合いを表す指標で、平行成分P.Tと拡散成分全てを含めた全光線透過率T.Tと平行成分を除いた拡散透過率DIFの比で表されます。

よくあるご質問

サンプルを送付いただくことは可能でしょうか?

可能です。寸法・厚みなどの仕様に関してはお問い合わせください。

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自社のガラスでも形成できますか?

ガラスの組成により形成しやすさが異なりますが、御提供いただければ検討は可能です。

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製品サイズはどのくらいでしょうか?

現在は、最大300mm×300mmです。
技術的には更に大きなサイズへの対応も可能です。

ガラスの厚みはどの程度対応可能でしょうか。

形成技術としては特に制限はありませんが、2mmt以下で対応させていただいています。

厚みはどのように測定されますか。

傾斜性の膜の為、境界面が存在せず、光学系の測定機では難しいため、現在はSEM画像から観察しております。
透過率のデータからも厚みを推定できるように検討中です。

屈折率はどのくらいでしょうか。

傾斜性の膜の為、深さで屈折率が緩やかに変化します。
ガラス母材と空気の屈折率の平均値から代替値を求めることができます。

各種コーティングはできますか?

コーティング等の対応も可能です。詳細はお問い合わせください。

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価格、納期は?

詳細はお問い合わせください。

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    製品カタログ

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