ゴム
高効率な伝動システム用のゴム製品に機能と信頼を提供します。
モビリティの小型化や産業機械の自動化が進むにつれて、より軽量・高効率な伝動システムが求められています。
高負荷条件下でも高精度な動きを実現するために、ゴム製品を使った伝動システムが新たに適用されています。
NSGは、自動車用途で培ったゴム材料用の製品技術を駆使し、伝動システムの性能と信頼性向上に関わる基幹材料の開発・提供を続けており、ゴム製品の用途拡大に貢献しています。
産業用ロボット駆動システムへの採用
2010年以降、自動化への動きやロボット機能の技術革新により、産業用ロボットの需要が大幅に増加しました。
新たなテクノロジーの動向の「インダストリー4.0」が様々な業界でも自動化をけん引し、今後もロボットへの投資の拡大が予測されています。
製造プロセスの自動化と高い生産性の実現のためには、ロボットの動作のさらなる高速化と高精度化が求められていますが、既存のゴムタイミングベルトを使った駆動システムでは、急加減速を伴う動作と位置決め精度が実現できず、ロボット導入への障害となっていました。
NSGは高弾性の炭素繊維と独自の繊維加工技術を組み合わせた新たなグラスコードを開発し、ロボット向けタイミングベルトの性能向上、ひいてはロボットの動作の高速化と高精度化を可能にしました。
産業の自動化と高速化を支えるソリューションとして、市場でのグラスコードの採用拡大が期待されています。
自動車用押し出しゴム成形品の耐久性/生産性向上
自動車のドアと車体の間の隙間を埋めるために、押し出しゴム成形製品のシーリング部材やウェザーストリップが使用されています。ごの部材には、長期間にわたりドアにより圧接されることによる部位の屈曲や変形や、ゴム成形品の寸法の差異により車体への取付け時に生産性が低下するという課題が存在しています。
その克服のために、高い引張強度と寸法安定性を持つグラスコードがゴム成形品に使用されており、部材の長期使用時の粘性変形や収縮の防止、及び取付け時の精度と生産性の向上に貢献しています。
搬送設備駆動システムへの検討
近年、様々な分野においてスマートファクトリーを目指す設備投資が拡大しています。
ネットワークでつながった工場内の機器・設備が最適な生産を目指すために、工場内の搬送ラインは高効率でトラブルフリーでなければなりません。
電子機器・医療産業・食品のための搬送ラインでは、エネルギー効率・静電気による帯電・錆の混入リスクといった、搬送システム由来の不具合への懸念がありました。
その解決のために、金属材料を含まないゴムや樹脂製のタイミングベルトが搬送ラインの駆動用に積極的に検討・採用されています。
軽量で磁性を持たず腐食のリスクのない最適な補強材として、NSGで独自設計されたグラスコードが、工場の効率的で安定した生産活動を支えていきます。
ゴムホースの高機能化への検討
軽量かつ柔軟な高性能ゴムホースの分野では、使用条件がより過酷になる一方で、さらなる長寿命化も求められてきています。ゴムホースに添加される部材に対しても、同様に高い耐環境性や耐久性が必要とされています。
グラスコードは寸法安定性、高弾性、高屈曲性、耐候性、ゴムとの接着性に優れ、ゴムホースのさらなる性能改善に向けて検討されています。特に、グラスコードの高い接着力は、ゴムホースの強度向上や、張り合わせ部の層間剝離及び使用時の損傷低減につながることが期待されています。
電動二輪車の後輪駆動への適用
SDGsや排ガス規制強化などの対策として、バイクやスクーターなどの二輪車の電動化が進められています。
電動二輪車は車両の運用コストも抑えられる上に、コロナ禍での行動様式変化も重なって、その需要は急速に拡大し、より高性能な電動バイクや電動スクーターが市場から期待されています。
特に後輪の駆動には、軽量・静音(低騒音)・高トルク・高効率な動力伝達システムが求められており、ギア・樹脂ベルトに代わって、メンテナンスフリーなゴム製のタイミングベルトが検討されています。
NSGで開発された軽量で高弾性な炭素繊維を使った新しいグラスコードは、電動二輪車の後輪駆動に好適な補強材として、新しい市場で活用されることが期待されています。
マイルドハイブリッド車の補機駆動用ゴムVベルトへの展開
CO2(二酸化炭素)排出量削減を目指して、様々な自動車の電動化の方法やシステムが検討されています。
その中でも補機であるスターター兼発電機を駆動用モーターのように使うマイルドハイブリッドは、10-20%の燃費向上をもたらすシンプルでコンパクトな電動デバイスとして、世界各国の自動車会社で採用が拡大しています。
マイルドハイブリッドに搭載されるスターター兼発電機は、従来よりも高負荷条件で使用されるため、駆動を担うゴムVベルトには、高い動力伝達性能と耐久性が必要になります。
この要求にこたえるため、NSGはアラミド繊維と自社の接着技術を組み合わせて、ゴムVベルト用の補強材として新しいグラスコードを開発しました。新開発のグラスコードが、ゴム製品の用途拡大と自動車燃費の向上に貢献しています。