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防曇コーティング

NSG独自のゾル・ゲル技術や有機・無機素材を組み合わせたハイブリッド技術からなる薄膜形成技術は、カメラモジュール(CCM)の課題解決・信頼性向上で高い評価を得ています。

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製品概要

先進運転支援システム(ADAS)や監視システム、個人認証システムでは、周囲環境の変化(湿度、温度、降雨、逆光)の影響を受けずに、カメラモジュール(CCM)、撮像素子(CCD、CMOS)で正確な画像情報を取り込む必要があります。CCMのカバーガラス/レンズの外側と内側の温度差や急激な気圧変化があると、カバーガラス/レンズの表面(内面)に水滴による曇りが発生します。曇りは光を散乱させるため、視認性や画像情報の取り込みに大きな影響を与えます。
NSGが開発した防曇コーティングをカバーガラス/レンズの内面に処理することで、曇りによる問題を解決できます。NSGの防曇コーティング膜は、透過特性/耐久性/耐水性に優れており、車載カメラ、監視カメラ、各種高性能カメラ等の信頼性の向上、イメージセンサーや撮像素子での正確な画像情報の取り込みを実現します。

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防曇コーティングの特徴

(1)ガラス・樹脂基板に対し高い密着性
NSGの防曇膜は、ガラス製基板に対し高い密着性があります。PCシート、PETフィルムなどの樹脂製基板向けの防曇コーティングも開発しています。

防曇コーティングの効果(イメージ) 左側:未処理 右側:防曇コーティング有り

防曇コーティングの効果(イメージ) 左側:未処理 右側:防曇コーティング有り

防曇コーティングの効果(イメージ) 左側:未処理 右側:防曇コーティング有り

防曇コーティングの効果(イメージ) 左側:未処理 右側:防曇コーティング有り

(2)カバーガラス/レンズ表面の水滴の付着挙動をコントロール
防曇コーティング膜の構造を調整することで、膜表面の親水性ー疎水性をコントロールできます。

水に対する接触角(未処理)

水に対する接触角(未処理)

水に対する接触角(防曇コーティング有り/吸水+撥水タイプ)

水に対する接触角(防曇コーティング有り/吸水+撥水タイプ)

水に対する接触角(防曇コーティング有り/吸水+親水タイプ)

水に対する接触角(防曇コーティング有り/吸水+親水タイプ)

膜表面に均一な水膜が形成させることで視認性を維持します。

水膜形成と視認性の関係 均一な水膜形成(視認性:良い)

水膜形成と視認性の関係 均一な水膜形成(視認性:良い)

水膜形成と視認性の関係 部分的に不均一な水膜形成(視認性:悪い)

水膜形成と視認性の関係 部分的に不均一な水膜形成(視認性:悪い)

水膜形成と視認性の関係 不均一な水膜形成(視認性:悪い)

水膜形成と視認性の関係 不均一な水膜形成(視認性:悪い)

(3)防曇膜の防曇機構の設計
使用環境に応じた複数の防曇機構を取り揃えています。

親水型
温度・湿度変化に対し膜表面に均質な水膜を形成することで基板の曇りを防ぎます。悪天候でも均質な水膜が形成され、視認性を維持できます。比較的温度・湿度の変化が小さい環境での使用に適しています。

吸水型
膜の構造中に水分を吸収することで基板の曇りを防ぎます。日常の温度・湿度環境に対し高い視認性を維持します。

吸水+親水型
親水機能と吸水機能を併せ持つ防曇コーティングです。低湿~中湿度の環境下では吸湿性が機能することで高い視認性を維持し、高湿環境下では親水膜が機能し水膜を形成し、視認性を維持します。温度・湿度環境の変化が大きい場所での使用に適しています。

親水型 防曇コーティング膜の表面への水膜形成のイメージ図

親水型:防曇膜の表面への水膜形成のイメージ図

吸水型 防曇コーティング膜中への水分の取り込みのイメージ図

吸水型:防曇膜中への水分の取り込みのイメージ図

吸水+親水型 防曇コーティング膜の内部への水分の吸収と並行して膜表面への水膜形成のイメージ図

吸水+親水型:防曇膜の内部への水分の吸収と並行して膜表面への水膜形成のイメージ図

親水型:温度・湿度変化に対し膜表面に均質な水膜を形成することで基板の曇りを防ぎます。

吸水型:高湿度の環境下で、周辺の水分を膜の中に吸収し、膜が水の吸着飽和に達すると曇ります。低湿度の環境下では短時間で膜中の水分を放出します。

吸水+親水型:高湿度の環境下で、膜の表面に均一な水膜を形成、透明性を維持します。

(4)防曇耐久性(耐水性)
NSG独自のゾル・ゲル技術と無機・有機材料を組み合わせたハイブリッド技術を応用した防曇膜は、高い耐水性を示します。

(5)高い透明性
可視光域での光吸収がほとんど無く、透明で且つ光散乱の少ない、平滑な防曇膜が成膜できます。

透過特性

透過特性

反射特性

反射特性

防曇コーティングの性能評価

NSGでは、主にガラス基板への防曇機能の付与を目的に開発しています。ガラスは、光学特性が優れることから、監視カメラや車載用カメラ、高性能カメラのカバーガラスやレンズやその他いろいろな光学部品に使用されています。NSGの防曇コーティングをガラス基板に処理するこで、光学特性を損なうことなく、耐久性の高い防曇機能が付与できます。

試験条件(NSG試験条件)
(1)光学性能:ガラス基板に防曇膜を成膜し、550nmでの透過率、反射率を測定
(2)密着性:JIS K 5600 クロスカット試験
(3)防曇性能:湯浴上(60℃〜90℃)に防曇膜を成膜したサンプルを置き、外観変化や曇りの有無を評価
(4)耐久性:一定時間、純水に浸漬させ、その後、風乾させたサンプルで防曇性能を評価(画像:水浸漬試験の図)
(5)耐摩耗性:柔らかい布で防曇膜を擦り、外観変化や曇りの有無を評価

防曇性能評価結果

防曇性能評価結果

防曇耐久性試験

防曇耐久性試験

監視カメラのカバーガラス向けの提案(市場流通品との比較評価)

監視カメラは屋内、屋外のいろいろな場所に設置されています。特に屋外で使用される場合、過酷な環境で使用される場合が多く、周囲の環境の変化(湿度、温度、降雨、逆光)が原因で正確な画像情報が取り込めないことが問題になっています。特にハイエンドの監視カメラには防曇・降雨対策が施されています。NSGの防曇コーティング(塗布型)と市場に流通する監視カメラに搭載されている防曇処理(塗布型)との比較評価を行いました。

(1)比較評価方法
市販の監視カメラの防曇処理されたカバーガラスと、防曇性能、防曇耐久性、耐摩耗性を比較
                                        
(2)評価結果
NSGの防曇コーティングは水に対する耐久性や耐摩耗性で優位性があり、寒冷地域や海岸地域などを想定した防曇耐久性でも優れた性能を示しました。

評価結果表

評価結果表

主な使用用途

NSGの防曇コーティングは、幅広い用途への適用を想定し開発に取り組んでいます。詳細はお問い合わせください。

監視カメラ、個人認証システム用カメラのカバーガラス用途

監視カメラ、個人認証システム用カメラのカバーガラス用途

車載カメラ、ADAS、LiDARのカバーガラス用途

車載カメラ、ADAS、LiDARのカバーガラス用途

眼鏡、スポーツサングラスのレンズ用途

眼鏡、スポーツサングラスのレンズ用途

高性能カメラのレンズ、光学フィルタ―用途

高性能カメラのレンズ、光学フィルタ―用途

次世代モビリティー用途

次世代モビリティー用途

スマートフォン、次世代モバイルのカメラ、認証ステム用途

スマートフォン、次世代モバイルのカメラ、認証ステム用途

ヘッドライト用途

ヘッドライト用途

樹脂基板向け防曇コーティングの開発

NSGは、ガラス基板への防曇機能の付与を主な目的として防曇コーティングの開発を進めています。並行して、樹脂基板(PC樹脂、PET樹脂)向けの防曇コーティングの開発にも取り組んでいます。
PC樹脂は射出成型が可能で光学特性が優れる為、CCMやピックアップレンズの光学レンズ、監視カメラや自動車のヘッドライトのカバーガラス、眼鏡やサングラスなど光学レンズなど、いろいろな光学部品に使用されています。一方で表面処理する場合に密着性の実現が難しい樹脂です。

評価結果
NSGの防曇コーティングは、PCシートに対しても耐久性の高い防曇膜を形成できます。

評価結果(PC樹脂基板)

評価結果(PC樹脂基板)

防曇性能(左側:未処理/右側:防曇コーティングあり)

防曇性能(左側:未処理/右側:防曇コーティングあり)

PC基板との密着性 

PC基板との密着性 

用語一覧

防曇コーティング

基板の表面に防曇コーティング膜を付着させ覆うことを意味しています。

防曇

ガラスやプラスチックが曇るのは、表面の温度が露点以下にまで下がり空気中の水分が細かな水滴となって付着し、光の乱反射を起こすためです。水分の付着状態を制御することで光散乱を抑え、曇り現象を防ぐことを指します。 防曇技術の一例として、材料表面の親水・撥水処理などがあり、材料表面が曇らないよう様々な防曇技術が開発されています。

視認性

目で見て確認できる度合を示します。視認性が高い場合は、対象物を詳細まで確認できることを指します。

呼気

肺から口を通し体外へ吐き出す空気を指します。簡易的に防曇性能を確認する場合、口からハ―と空気を吹き出し防曇処理された表面が曇るかで確認します。

先進運転支援システム(ADAS)

先進運転支援システム(Advanced driver-assistance systems)を略してADAS(エーダス)と一般的に呼ばれています。ADASは、周囲の情報を把握し、運転操作の制御やドライバーへの注意を促し、快適な運転をサポートしたり、事故を未然に防ぐシステムの総称を指しています。運転操作の「認知機能」「判断機能」「操作機能」をサポートするシステムです。

監視カメラシステム

監視カメラシステムとは、監視カメラを単体で利用するのではなく複数の監視カメラをネットワークによって接続し、映像や音声の管理や保存などを行うシステムのことです。
技術の進歩により大量のデータが扱えるようになり、単体の監視カメラで監視するのでなく、監視カメラシステムでの監視が可能となりました。
遠隔監視システムや集中監視システムなど、高度な監視システムが活用されています。

個人認証

ICT化が進んだことで、デバイスを利用する時やシステムへログインする時など、個人を特定する(個人認証)必要性が急増しています。個人認証システムは、ディバイスやシステムを利用しようとしている人が、事前に登録されている本人であるかどうかを識別するプロセスです。個人認証システムを使用することで、個人や組織のプライベートな情報を安全に扱うことができます。個人認証に画像データ(身体的特徴=指紋、顔、手の静脈など)を活用する機会は増えています。

カメラモジュール(CCM)

カメラモジュール (CCM=Compact Camera Module) とは民生機器である一眼レフカメラと同様の構造を持つ、産業用機器です。カメラモジュールはレンズとカメラから構成されています。カメラモジュールではレンズから入行してきた光を撮影素子上で結像させ、電気信号に変化することで画像を取得します。カメラの撮影素子にはCCDとCMOSの二種類があります。

ゾル・ゲル技術

ゾル・ゲル法とは無機材料、有機金属塩材料などを出発原料として溶液化し、 この溶液を加水分解および縮重合反応させることでコロイド溶液(Sol状態)とし、さらに反応を促進させることで固体(Gel状態)を形成させる。 固体(Gel状態)を熱処理することで高純度のガラスやセラミックスを作製する方法です。

無機・有機素材を組み合わせたハイブリッド技術

有機材料と無機材料を分子レベルで配合させ、有機素材の特徴と無機素材の特徴を併せ持つ構造(結合・非結合)を作製する技術です。

光散乱

光は均質な媒質中では直進する性質を持っています。媒質が不均一な場合は進行方向が変化することがあります。 一般的に、光の進行方向に存在する小さな水滴や光を通しにくい微粒子等によって光の進行方向が不規則に変化する現象を「光散乱」と呼びます。

スピンコート

スピンコートは、スピンコーター(Spin Coater)を使用し、平坦な塗布対象物の上面に、一定量の液体を乗せた後、対象物を高速回転させることにより発生する遠心力を利用して対象物上に薄膜を形成することを指します。

ディップコート

液体中に塗布対象物を垂直に浸漬(Dip)させ、液体の粘性力、表面張力及び重力(付着液の流下する重力)と速度を調整して塗布対象物を引上げ、膜厚を制御することで対象物上に薄膜を形成することを指します。

スプレーコート

スプレーコーターを使用し、液体を霧状(ミスト)にして、塗布対象物に吹き付けることで対象物上に薄膜を形成することを指します。

水膜形成

対象物の表面に水の薄い層が形成される現象を指します。

露点

空気が冷却され含まれている水蒸気が液体(霧)になるときの温度のことをいいます。ある温度において空気中に含むことができる水蒸気の限界量を飽和水蒸気量といい、その限界(飽和状態)を超えた分の水蒸気が霧となって現れます。このときの温度が露点(露点温度)といいます。

撮像素子

デジタルカメラでの撮影とは、レンズから入った被写体の光をデジタル画像データに変換して出力することを指します。 撮像素子は、そのデータ変換を行う部品を指します。撮像素子はイメージセンサーとも呼ばれます。CCD(Charge Coupled Devices 電荷結合素子)とCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor 相補性金属酸化膜半導体)の二種類があります。現在のデジタルカメラのほぼ全てに内蔵されています。CCDイメージセンサーを構成する要素は「集光レンズ」「カラーフィルタ」「受光素子=フォトダイオード」「転送回路」に大別できます。デジカメなどの性能指標として用いられる「画素数」は、このフォトダイオードの数を指します。CMOSイメージセンサーは、フォトダイオード1個につきアンプ1個が対をなす構造となっています。各素子からの電荷は、あらかじめアンプによって増幅された状態で画像処理部分へ転送されるので、転送の過程でノイズの影響を受けにくくなります。

イメージセンサー

デジタルカメラでの撮影とは、レンズから入った被写体の光をデジタル画像データに変換して出力することを指します。 イメージセンサーは、そのデータ変換を行う部品を指します。イメージセンサーは撮影素子とも呼ばれます。CCD(Charge Coupled Devices 電荷結合素子)とCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor 相補性金属酸化膜半導体)の二種類があります。現在のデジタルカメラのほぼ全てに内蔵されています。CCDイメージセンサーを構成する要素は「集光レンズ」「カラーフィルタ」「受光素子=フォトダイオード」「転送回路」に大別できます。デジカメなどの性能指標として用いられる「画素数」は、このフォトダイオードの数を指します。CMOSイメージセンサーは、フォトダイオード1個につきアンプ1個が対をなす構造となっています。各素子からの電荷は、あらかじめアンプによって増幅された状態で画像処理部分へ転送されるので、転送の過程でノイズの影響を受けにくくなります。

PCシート、PC樹脂、PC樹脂基板

ポリカーボネート樹脂で製造された板状の基板です。透明性や耐衝撃性を求められる用途に使用されます。

PETフィルム、PET樹脂、PET樹脂基板

ポリエチレンテレフタラート樹脂で製造されたフィルムです。強度や耐久性を求められる用途に使用されます。

処理方法について

基板にはどのような塗布方法で処理することができますか?

スピンコートやディップコート、スプレーコートで防曇コーティング膜を処理することができます。詳細はお問い合せください。

塗布後の乾燥は必要でしょうか?

防曇コーティング膜を処理した後、10分ほど風乾させ、100℃以上の温度で熱処理が必要です。詳細はお問い合せください。

基板のクリーニング方法はどうしたら良いですか?

ガラス基板の場合、アルカリ洗浄など行い、純水に対する基板表面の接触角が10度以下になるようクリーニングしてください。ゴミが基板に付着していると膜欠点の原因になります。

液について

防曇液の保管条件を教えてください。

使用前の液は10℃以下の冷蔵庫で保管ください。

液の調合する場合の容器の種類を教えてください。

ガラス製のビーカーやPE/PETボトルが使用できます。

液が付着した場合はどのように処理したら良いですか?

液が目に入った場合は、大量の水で洗浄し、急いで医師の診察を受けてください。SDSで製品情報や安全情報を確認ください。

液が付着した容器の洗浄方法を教えてください。

液が乾燥・固化する前に、アルコールで洗浄・拭き取りをして、完全に液を取り除いてください。

液の廃棄はどうしたら良いですか?

SDSを確認ください。

防曇コーティング膜について

簡易的な防曇性能の確認方法はありますか?

呼気をサンプルに吹きかけ、曇らないことを確認してください。

水につけると膜が白くなります。

防曇処理の時の熱処理が不十分な可能性があります。加熱温度、時間を調整してみてください。詳細はお問い合せください。

膜を擦ると傷が付きます。

防曇膜はある程度の耐擦傷性能がありますが、ハードコートの機能はありませんので強く擦ると傷が発生します。

不良品を再利用する場合、防曇膜を剥がすことはできますか?

防曇膜を剥がすことはできません。新しい基板への処理をお願いします。

その他

防曇処理する場合、どのような環境が必要でしょうか?

温度25℃、湿度50%RH、クリーン度Class1000以下での塗布作業を推奨しています。

防曇コーティングサンプルの入手はどのようにしたら良いでしょうか?

弊社までお問い合せください。

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指定の基材へ防曇コーティングを処理してもらうことはできますか?

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サンプルはありますか?

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防曇コーティングの価格を教えてください。

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